グランツリー武蔵小杉店
開業10周年記念
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けんご小説紹介さん
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読みたい本が
絶対見つかる! 好評につき期間延長
3/2まで対象作品ポイント30倍
TikTokでの小説紹介をはじめ、本の帯や書店のPOPなど、小説好きの中ではその名を見ない日はない、小説紹介クリエイター・けんごさん。
けんごさんのSNSで反響の多い作品から、武蔵小杉店のスタッフが独自の視点でチョイス、開催した「本の帯で読む小説紹介フェア」。
「けんごさんの小説紹介全部載せ!なモリモリ全面帯」が話題を呼び、Kinoppyのスタッフも虜にした本フェアをKinoppyで再現してみました!
(※武蔵小杉店のフェアは終了しています。)
本の帯で読む小説紹介フェア
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けんご
小説紹介さん
小説紹介クリエイター。SNSで小説の紹介動画を投稿。短尺で的確に小説の魅力を伝える紹介動画は、幅広い年齢層から絶大な支持を得る。紹介動画の投稿後に、たちまち重版した書籍は多数。SNSの総フォロワー数は100万人以上。大の猫好きで、現在は妻と猫2匹の4人暮らし。
命の重さには決定的な違いがありますよ
認知症目線で物語が進む壮絶な一生
個人的に残酷で切なすぎる純愛小説
この小説は読者が犯人
あなたは自分に存在価値があると思いますか?
彼氏が見知らぬ女と間違って子供を作った
東大生が起こした凶悪事件
おとぎ話の世界で起こる連続殺人事件
推しを推して壊れてしまう変わり者の女子高生の話
サイコパスの思考回路を描いた悪魔の激コワ物語
過激で訳ありな成人向け雑誌を万引きした男子高校生
27年もの間魔法少女ごっこを続けている36歳の女性
犯人も被害者も全員同じ名前の前代未聞の物語
死体目線で物語が進む
怖くないのにトリハダが止まらない話
学校の校則は破綻している
一冊なのに六章なのに720通りの物語が読める
誤字だらけでまるで幼児が書いた小説
祖父と一緒に寝ている小二の少女が何かおかしい
一家三人を惨殺した平成最後の少年死刑囚
不幸だけをかき集めた地獄のような恐怖の物語
あなたは3,000円を大金だと思いますか?
自ら電車に轢かれた女子高生の本当の目的
事故で五感を失った男の最後の決断
殺された子の死体目線で進む物語
椅子の中に潜り込み女性の肉体をたのしむ男
全校生徒の目の前で飛び降り自殺した人気教師
ブタの臓器を全身に移植された少女
たった80分しか記憶がもたない天才
この上ないグロ描写と精神的苦痛が詰まった小説
最後の一行で物語が一変してしまう驚愕の小説
とある学校の”転校生”が気持ち悪くてたまらない
性行為が異常とされた世界
涙を流すと死に至る病
命の重さには
決定的な違いが
ありますよけんご
- 「女の人って怖いですね」―30代男性読者
「怖いのは女だけですか」―近藤史恵
↑帯に書いてあった文言です。この情報だけでも、
より本書を読みたくなると思います。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 不穏な物語が好きな人
▷ 人間の価値に疑問を持っている人
▷ 重たい小説を読みたい人
人間は平等、命の重さは変わらない——。
本当にそう思いますか?価値ある人間と、価値のない人間…本当は分かれていると思っていませんか?今回は、ひりつくほど重苦しく、不穏で暗くて、謎に包まれた家族の物語を紹介させてください。主人公の女性は出産を間近に控えていました。しかし、そのタイミングで夫の海外赴任が決まってしまったのです。初めての出産で不安に思っていたのですが、夫はどこか悪びれもせずに海外へと飛び立つ決心を固めてしまいました。仕方なく、彼女は実家に帰省することにします。親元で出産することを決めたのです。ただ、どうしてでしょうか。実家の家族が歓迎ムードではありませんでした。仲が良かったはずなのに、父も母も年の離れたまだ十代の妹、誰も目を合わせようとしてくれません。両親にとっては、初孫が生まれてくるのにもかかわらず。私の家族にいったい何があったのか——。物語が進むごとに、彼女の出産が近付くごとに、不気味ともいえる違和感が浮き彫りになってきて…。そこには、実に苦しく、悲しい真実が待っていたんです。これ以上は、実際に読んでご自身の目で確かめてください。購入する試し読み
認知症目線で
物語が進む
壮絶な一生けんご
- 独特な語り口調で、ぶっちゃけ読みにくい。だけど、それを感じるのは数ページだけで、それ以降はのめり込むように読みました。心が締め付けらる、壮絶で壮大な物語です。
- 読みやすさ
- ★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 純文学作品が好きな人
▷ 新たな読書体験をしてみたい人
▷ 考えさせられる物語が好きな人
この作品は、認知症を患った老女の独特な語り口調で進んでいきます。老女が考えていることがそのまま文章になっているので、現在の話・過去の話が行ったり来たりするんですね。認知症の方の思考をここまでリアルに描写できることに驚きました。しかも、この老女には目を背けたくなる壮絶な過去があったんです。それが、だんだんだんだん紐解かれていって、最後には・・・・・・という話になります。138ページという短い物語の中に、まるで一人の女性の人生が詰まっているようなそんな作品でした。生きるとは、人生とは、幸せとは・・・・・・。読んだ後、放心状態になるほどの物語です。
購入する試し読み
個人的に残酷で
切なすぎる純愛小説けんご
- 湊かなえさんの作品では、一番オススメです。謎の深さはもちろんですが、殺害の動機や登場人物の秘密などが完璧すぎて、一気読みしました。
素晴らしい作品です。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 謎解きが好きな人
▷ 純愛小説が読みたい人
▷ 登場人物に感情移入したい人
こんなに切ない結末があっていいのか。悲しくて、胸が締め付けられる辛い作品でした。この物語は、超高層マンションの一室に住む夫婦の変死体が発見されたところから始まります。それから、現場に居合わせた四人の男女の証言から、事件の真実を紐解いていく・・・だけでは終わりません。登場人物、それぞれに訳があり真実を隠している。いや、隠さなければならなかった理由があるんです。大切でたまらない、絶対に守りたい・・・Nのために——
話の起承転結が、タイトルが、登場人物の名前が、全てが伏線になっています。この作品の結末を知ったとき、多くの人がきっと「究極の愛」について考えると思います。購入する試し読み
この小説は
読者が犯人けんご
- なるほどーとはなりますが、心の底から納得できていない・・・。そんな小説でした。しかし、このアイデアは本当に素晴らしい。ミステリー好きなら一度は読んでほしいです。
- 読みやすさ
- ★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 斬新なミステリーを読みたい人
▷ 賛否両論ある作品が気になる人
▷ どんな結末でも受け止められる人
この作品、読んでる読者が犯人になる小説なんです。しかも、殺意のない殺人犯。意味がわからないですよね。この作品に関しては、実際に読まないと本当にわかりません。正直、んー・・・・・・と思います。それでも、読者が犯人になってしまうんですよ。斬新で賛否両論がありそうなトリック。読了後は、え、わたしが犯人?!というより、あぁ、なるほど。自分が犯人だったわ。と、なるはずです。ぼくが色々書くよりも、まずはあらすじを読んだ方が早いと思うので、裏表紙をチェックしてみてください。
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あなたは自分に
存在価値があると
思いますか?けんご
- 本作は、イヤミスに分類されると思います。個人的には、超絶好き。こんな物語があるから小説はやめられません。ただ、間違いなく賛否があるラストだとは思っています。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 小説を読んで絶望を味わいたい人
▷ 直木賞受賞作家の作品を読みたい人
▷ パラレルワールド系の作品を読みたい人
もしかしたら・・・・・・いない方がよかった存在かもしれませんよ?えげつない。容赦ない絶望です。物語は二年前に恋人を亡くした主人公が崖から転落するところから始まります。うわ・・・・・・死んだ。と思った次の瞬間、主人公は住み慣れた地元の街にいました。とりあえず家に帰るとなんとそこに、本来いないはずの見知らぬ姉がいたんです。それだけではなく、壊滅的な仲だった両親が驚くほど仲が良かったり、極め付けは主人公の恋人が生存していたり・・・・・・これにより、主人公は結論を出します。今いる世界は、自分が生まれなかったパラレルワールドで、自分が存在しない方が周りが幸せになっているということを・・・・・・注目してほしいのは、ラストの展開。読み手によって解釈が分かれ、賛否両論となるはずです。
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彼氏が見知らぬ女と
間違って子供を作ったけんご
- 芥川賞受賞作家のデビュー作。強烈でした。冒頭から最後の最後まで全速力という感じで一気読みです。ぶっ飛んだ内容の作品なのにリアリティがあって・・・言葉にできません。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 純文学作品が好きな人
▷ ページ数の浅い小説を読みたい人
▷ 複雑な人間関係の作品を読みたい人
こんなに重たい話だと思ってなかったので、不穏な気持ちになりました。主人公の女性は卵巣の手術をしていて、子供が作れないわけではないですが、前向きではありません。その関係もあり、付き合っている彼とは身体での愛情表現行為をほどんどしていませんでした。ある日の仕事帰り、主人公は彼からカフェに呼び出されます。なんの話だろうと思ってカフェに行くと、彼の隣に見知らぬ女性が座っていたんです。その女性からとんでもないことを言われます。彼にお金を払わせてやらせたら、間違って子供ができてしまった。とりあえず、子供が生まれるまでは彼と籍を入れて、生まれたら離婚する。生まれた子供は育てたくないから、あなたが貰って。当たり前ですが、主人公は大混乱。そこから・・・・・・というお話。正直、登場人物の誰にも共感できませんでした。でも僕が男だからでしょうか。この作品、読んでよかったと心から思います。ラストの展開は、どちらかというと救いようがないと思いました。
購入する試し読み
東大生が起こした
凶悪事件けんご
- 何がきっかけでこの作品を手に取ったかを覚えていませんが、読後は戦慄しました。それと同時に、「偏見」の醜さを感じてしまい過去の人生を深く反省した記憶があります。
- 読みやすさ
- ★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ルポルタージュ的な作品が好きな人
▷ 実際に起こった事件を知りたい人
▷ きつい表現が問題ない人
先に書いておきますが、この作品、あくまで事件をもとにしたフィクションです。過激描写が苦手な人・・・・・・特に女性の方は一回ちゃんと調べてから読むか読まないかを決めてください。事件の内容は東大生5名による女子大生への強制わいせつです。お酒で酷く酔わせて、マンションに連れていかれた挙句、言葉にできないくらいの行為が行われていました。しかし、なんと事件後には被害者女性に対しての世間からのバッシングがあったんです。「酔った状態で複数の男性がいる部屋に行くなんて無防備だ」この事件の背景を知れば、こんなことは絶対に言えません。よくありますよね、学歴コンプレックス。優秀が故に他人を見下す人がいるのは事実です。深くは書きませんが、学歴コンプレックスが事件発生に繋がります。かなりきつい作品です。しかし、僕はこの作品を読めて心から良かったと思いました。
購入する試し読み
おとぎ話の
世界で起こる
連続殺人事件けんご
- 大傑作メルヘンミステリーの第一弾。会話文が多く、物語がテンポ良く進んでいくので、苦手な方にもオススメです。読みやすさ・トリック・キャラ設定・・・どれをとっても素晴らしい!!
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ラストに驚きを求めている人
▷ 奇妙な世界観を好んでいる人
▷ 犯人探しが好きな人
紹介する前に二つの注意点があります。『不思議の国のアリス』のファンタジー感をぶち壊されたくない人、おぞましすぎるグロ描写が苦手な人・・・・・・。どちらか一つにでも当てはまる人は、読まない方がいいかもしれません。ことの発端は、主人公の栗栖川亜理が見た夢から始まる。その夢の内容は、不思議な国に迷い込んだアリス目線の夢で・・・・・・ハンプティ・ダンプティという架空の玉子のキャラクターが転落死する惨劇のような夢。それは、夢だけでは終わらなかった・・・・・・。信じられないことに現実世界の亜理が通う大学で「玉子」というあだ名のついた研究員が同じように屋上から転落死したのであった。その後も夢の内容と現実がリンクするように次々と怪死事件が続く・・・・・・。この事件の犯人は一体誰でなにが目的なのか。そして、多数の人から疑われる。最重要容疑者はアリスだと。驚愕のトリックとまさかの結末に心の底から驚嘆しました。本当におすすめできる大傑作ミステリー作品です。
購入する試し読み
推しを推して壊れてしまう
変わり者の
女子高生の話けんご
- 最後に質問があります。自分の大切な推しが不祥事を起こして炎上したとしても、あなたは推しを推し続けることができますか?この作品は、未来永劫読み継がれる小説だと思います。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 推しがいる人
▷ 芥川賞受賞作品を読んでみたい人
▷ 日本文学史に残る傑作を読みたい人
自分の大切な推しがファンを殴って炎上したらあなたはどうしますか?紹介する前に一つだけ。かなり救いようのない物語なので、読む場合はそこだけ注意してください。推しがいる人にとっては、悲しくてたまらない物語かもしれません。はたまた、希望を抱く物語かもしれません。主人公、山下あかりは少々訳ありの女子高校生。はっきりと言ってしまえば、周りと若干ずれているような女の子なんです。昔から少し変わった考え方をする、個性的な人間でした。そんなあかりが唯一没頭し、全身全霊を捧げていることが推しを推すこと。推しのためならお金は気にせず、推しのためにバイトをし、推しについてのブログを一心不乱に書き続けます。「推しは私の背骨」しかし、あかりにとってかけがえのない存在が突如炎上するのです。推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。SNSで書かれる推しに対しての罵詈雑言。それを見て混乱し、私生活までも影響が出てしまうあかりのなんともいえない様子・・・・・・この作品を読んで、非常にやるせない気持ちになりました。同じ立場だったらこうなってしまったかもしれないと心底同情してしまうような物語です。
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サイコパスの
思考回路を描いた
悪魔の激コワ物語けんご
- 幽霊も出ない、過激シーンもほぼないのですがとてつもなく怖いと思った小説です。人間心理をまるで弄ぶかのようなサイコパスの行動に驚嘆の連続でした。映画化もされた小説です。
- 読みやすさ
- ★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ サイコサスペンスを読んでみたい人
▷ 映画化された作品を読んでみたい人
▷ 純粋に怖い小説を読みたい人
皆さんは、二十四人を殺して逮捕され、そのうち九件が立件されて死刑となった殺人鬼が・・・・・・一件だけ冤罪を主張した凶悪事件を知ってますか?ありきたりな言葉にはなりますが、めちゃくちゃ面白かった。この作品ってサイコパスの生い立ちから思考までもが、事細かく描かれているんですよ。過去の栄光をいつまでも引きずって、やる気のない大学生活を送っていた主人公のもとに一通の手紙が届きます。差出人は昔よく通っていたパン屋の店主で、人当たりもよく、優しい顔立ちの榛村という男でした。ここで驚愕の事実。その榛村が連続猟奇殺人で死刑を宣告され、控訴中の未決囚となっていたんです。興味を持った雅也は、榛村に会うために拘置所へ面会に行きます。そこで、まさかのお願いをされるんです。「最後の一件だけが冤罪だ。それを証明してほしい」サイコパスって・・・・・・凄いなと思いました。常人には理解できない思考回路で、読者の僕が弄ばれた気分になったんです。あ、グロシーンはほぼないので安心して読んでください。
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過激で訳ありな
成人向け雑誌を
万引きした男子高校生けんご
- いやー、紹介文を書くのにかなりの時間を要してしまいました。やっとまとまったのでご紹介できます。それだけ届けたかった小説です。「きみ、結構いやらしいよね。性格が」
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 考えさせられる小説を読みたい人
▷ 周りに合わせるのがしんどいと感じる人
▷ ハラハラする小説を読みたい人
成人向け雑誌を万引きした犯人は男子高校生で、かなりの変わり者だという自覚があります。具体的には周りとズレているんです。例えば、大半の人がAと答える質問をただ一人だけBと答えてしまう。みんなが笑える方の面白い…いわゆるfunnyを求めているのに、一人だけinterestingだと思ってしまいます。周りの人がいう「普通」がわからないんです。普通にできないことが苦しいんです。生きづらくてたまらないんです。そんな彼は、成人向け雑誌の万引きを繰り返していました。その雑誌で掲載されている、ある漫画を求めて。その漫画は、童顔な少女たちが…この先の内容は想像して下さい。そしてついに、書店での万引きがバレてしまったのです。書店の店員は、親か学校の先生に報告するから連絡先を教えろといいました。大半の人がここで親を選びます。しかし彼は担任の先生に連絡することを選んだのです。彼の担任の先生がすぐさま駆けつけます。先生の名前は二木。万引きした彼は二木先生に強烈に怒られる…と思いきや、なんだか様子がおかしいんです。二木先生も彼自身も。その理由は、彼が二木先生のある秘密を知っていて、それが万引きした雑誌と関係しているからなんです。勘のいい方は、もうお気づきかもしれません。マイノリティ側なのは彼だけじゃなかった。社会からはじき出されてしまう個性を持っていたのは…
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27年もの間魔法少女
ごっこを続けている
36歳の女性けんご
- 敬愛する村田沙耶香さんの小説です。今、僕が最も新刊を発表してほしいと願っている作家さんですね。ミラクリーナにも独特な世界観が広がっているので、未読の方はぜひ。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 異質な世界観を味わいたい人
▷ 童心を忘れられない人
▷ 村田沙耶香ワールドを堪能したい人
小学校三年生の時に魔法少女ごっこを始めてから二十七年間も続けている女性の話です。彼女にとっての魔法少女ごっこはお遊びに過ぎないものでした。しかし、そのお遊びをやめることができないんです。やめるきっかけが見つからないんです。彼女の魔法少女歴は二十七年にもなりました。彼女は魔法のコンパクトに呪文を唱えると、魔法少女ミラクリーナに変身できます。困った人をこっそり助けたりなど、魔法少女は毎日たいへんだそうです。ミラクリーナの正体は周りの人には知られてはいけません。知られたら、一生魔法少女にはなれない……設定だそうです。同僚から無理な仕事を押し付けられても、彼女は魔法少女に返信して困っている人を助けるつもりで働きます。内心は……「もっと早く言えよ」と思いながら。もちろん、魔法少女のことは隠して。魔法少女になったきっかけは小学校の頃からの友達でした。その人の前では今でも魔法少女でいられます。ただ、肝心の友達は「黒歴史を掘り起こさないで」と呆れている様子なんです。そりゃ、三十六歳なんだから……。ある日、事件が起こってしまいます。件の友達の彼氏が少々訳ありで、喧嘩どころか一線を越えてしまい……。助けてミラクリーナ!
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犯人も被害者も
全員同じ名前の
前代未聞の物語けんご
- 前代未聞の他にはないミステリー作品です。混乱する…と書いたものの、それすらもこの作品の狙いなのではないかと思います。100%あのトリックとわかるのに騙されました。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ボリュームがある作品を読みたい人
▷ 唯一無二の謎物語を読んでみたい人
▷ 匿名アカウントを使っている人
数人同じ名前で…みたいなミステリー作品は今までも数冊ほど読んできたのですが、十人以上同じ名前の人物が登場する作品はさすがに初めて読みました。前代未聞だと思います。この作品は、凶悪殺人犯と同姓同名だったというだけで人生を狂わされた様々な人を描く小説です。物語は六歳の女の子が殺害されるところから始まります。その方法が極めてひどいもので、見つかった女の子の遺体は頭部と身体が首の皮一枚でつながっている状態だったんです。しかも、捕まった犯人はなんと十六歳。世間はこんなことを許すはずもなく少年法で守られた犯人の実名を公開しろという声がSNS上で無数に上がります。そして、あることをきっかけに犯人の「大山正紀」という名前が流出してしまうんですね。これだけでは終わりません。その名前が公開されたことによって、同姓同名の他の「大山正紀」たちの人生がとんでもないことに…というお話。一つだけ注意点があるとすれば、登場人物の九割が同じ名前なので、読んでる途中に少しだけ混乱します。
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死体目線で
物語が進むけんご
- 巨匠・吉村昭さんの初期短編集。大傑作です。重厚で濃密な文章に想像力を掻き立てられました。なんというか、この作品を読めたことが誇りに思えるほどです。気になる方はぜひ。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 名著と呼ばれる小説を読みたい人
▷ 考えさせられる小説を読みたい人
▷ 短編集が好きな人
もし意識があるまま自分の体が解剖されたら、いったいどのような感覚になると思いますか?想像して下さい。まずは頬にメスがスッと入ります。次々と皮膚がとられ、その後に腹を開かれるんです。想像するだけで痛い。でも痛くないんです。なぜなら解剖されてるのは死体だから。この作品は死体目線で語られる物語です。語り手は十代の少女。少女は残念なことにあることが原因で亡くなってしまいます。亡くなった後、少女は検体に出されてしまうんです。検体を簡単に説明すると、医学の解剖実習に役立てるために、死後の身体を提供すること。そこから少女の体は次々と切り取られていき、最後には…という物語になります。注目すべきはそのリアルさ。映像やイラストを使わずに、文章だけで解剖されるさまをここまでリアルに描けるなんて震えました。読んでいる途中に何度も目を細めたほどです。そして極めつけは、若くて状態のいい死体に群がる研究者たちの様子。「死」というものを考えさせ、どこか美しさも感じさせるほどの大傑作でした。
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怖くないのに
トリハダが止まらない話けんご
- 僕が大好きな小説が文庫化されました。この作品、都会と田舎の対比も描かれるんですね。それがまぁ上手いんですよ。「風呂キャンセル界隈」が話題なので、改めて紹介です。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 考えさせられる小説を読みたい人
▷ ぐいぐい読み進められる話を読みたい人
▷ 結末がなんとも言えない話を読みたい人
「風呂キャンセル界隈」って知っていますか?最近、ネット上で非常に話題になっていますよね。「風呂に入りたくない人たち」を指す言葉です。正直、僕からすると全く理解できません。一日入らないだけでも僕はきついです。皆さんはいかがでしょうか?とある夫婦の話を聞いてください。「風呂には、入らないことにした」ある日を境に、今年三十五になる夫が風呂に入らなくなったんです。四日目には、明らかに臭くなり始めました。風呂に入らない理由を聞いてみると、水道の水に嫌悪を感じているようなんです。夫は水道の水を、くさくて、ちょっと痛いと言います。しかし、妻としては、同居する人間として風呂に入ってもらわないと困ります。夫はシャンプーも使おうとしません。そこで彼女は、ミネラルウォーターで頭と体を流すように命じました。それでも、夫の体はどんどん臭くなっていきます。皮膚はめくれ、ずりゅんと頭の皮が剥け、どんどんどんどん汚くなっていきます。そんな、突然風呂に入らなくなった夫を描く、超傑作詳説。夫が臭くなっていく描写、物語の進め方、テーマ性、人間関係の描き方……何をとっても素晴らしい作品です。
購入する試し読み
学校の校則は
破綻しているけんご
- 裏面のような冒頭から始まるこの物語。今回も独特な語り口調で進んでいく小説でした。イヤミスの女王と呼ばれる、湊かなえさんらしさ前回のTHE・考えさせられる小説です。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 独特な小説を読みたい人
▷ 校則に不満がある人
▷ ルッキズムについて考えたい人
服装・髪型・化粧・整形…これらを禁止する学校の校則って必要ないと思いませんか?
髪色・スカートの長さ・眉毛…これらが学校のルールからはみ出したとしていったい誰が困るというのでしょう。別に女子がズボンを履いたっていい。加えて、二重瞼の矯正。どうして放課後の何時間も費やして怒られなければならないのでしょうか。集団性が損なわれる?顔も体格も学習能力も、ぜーんぶ人それぞれ違うのに?まだそんなこと言うんですか?外見に悩んで不登校になる子だっているのに、一重を二重に矯正するだけで、心が晴れて楽しく生活できる子がいるのに、それらを禁止するなんて本末転倒です。怪我をすれば病院に行く、目が悪ければ眼科に行く、虫歯になれば歯医者に行く。容姿だけ全くの別物なのですか?容姿の悩みを改善しようと美容室に髪を染めに行く、眉を整える、美容整形をする。どちらも心の豊かさにつながる行為だというのになぜ美容と教育を切り離そうとするのですか?あなたの意見も訊かせてください。あなたは私の話を聞いて、どう思いましたか?購入する試し読み
一冊なのに
六章なのに
720通りの物語が読めるけんご
- 投稿では物語に触れられなかったので、公式あらすじは実際のカバー裏面をご覧ください。ちなみに僕はまだ4通りしか読んでいません。順番を変えるだけで読後感が全く違います。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 斬新な設定の小説を読みたい人
▷ 紙の本が好きな人
▷ ダークな雰囲気の小説が好きな人
720篇の短編小説集・・・・・・ではないんです。繋がりのある連作短編集であることは間違いありません。ただ、この作品は720通りにはほど遠いたった六章の物語なんです。ではどうやって六章を720通りにするのか。言葉で説明するのはごく簡単です。この六章には順番がないんです。わかりやすく言い換えます。どの章から読んでも。どの章を間に挟んでも、どの章を最終章にしても、物語の筋が通って、必ず完結するんです。その順番の組み合わせが合計720通りになります。つまり、どのパターンで読むかはあなた次第ということです。それだけではありません。普通、小説を読むとなると、当たり前ですが前から順番に読みますよね。ということは、章同士に物理的な繋がりができているということです。この小説はその物理的な繋がりをなくすために、一章ごとに上下反転して印刷されています。つまり、このままの向きで読む章もあれば・・・・・・ 本自体をひっくり返して読む章もあるということです。なんと挑戦的な小説なんでしょうか・・・・・・。
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誤字だらけでまるで
幼児が書いた小説けんご
- ヨルシカの新曲『アルジャーノン』を聴いて、すぐさま読み返しました。「読むべき」と強く言い切れるほど素晴らしい一冊です。 最後の二行を読んで、涙腺崩壊しました。
- 読みやすさ
- ★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 世界史に残る名著を読みたい人
▷ 考えさせられる小説を読みたい人
▷ 海外文学作品を読みたい人
何回読んでも泣けます。なぜ誤字だらけで幼児が書いた小説に思えるかは、あらすじのあとに説明させてください。主人公は三十二歳の男性。彼はなんと三十二歳になっても幼児程度の知能と感情しかないんです。文字の読み書きもままならない。そんな彼にもとに、夢のような話が舞い込みます。それは開発されたばかりの脳手術。成功すれば、グンと知能レベルが上がる。実験に使われたネズミのアルジャーノンはこの手術を受けて難解なテストに合格していました。これはチャンスだ。主人公は脳手術の申し出にとびつきます。そして手術により天才へと変貌するんです。ろくにできなかった文字の読み書きが出来るようになります。何ヶ国語も話せるようになります。しかしその反面、周りの人に馬鹿にされていたこと、母親に嫌悪を抱かれていた事実に気づいてしまって…という話。なぜこの小説が誤字だらけなのか、勘のいい方はもうわかっていると思います。物語は主人公が書いていく経過報告をもとに進むんです。つまり最初は読み書きがままならない状態なので、必然的に経過報告も誤字だらけ。しかし、突如として天才に変貌してしまい、その後は…実際に読んでみてください。
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祖父と一緒に寝ている
小二の少女が
何かおかしいけんご
- その部分について、読んだ人と意見を交わしたいです。読んだ人だけに問いたいです。もう一度だけ念を押しますが、かなり面白い作品であることには間違いありません。けど……。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ イヤミス系の作品が好きな人
▷ 読みやすいけど重い小説を読みたい人
▷ 実写ドラマ化された作品を読みたい人
「女の子はおじいちゃんと寝ないといけないんだよ」ある団地に住む、小学二年生の里子ちゃんの発言です。あなたにはこの恐ろしさがわかりますか?里子ちゃんには弟もいます。だけど、弟はおじいちゃんとは寝ないそうです。この話を聞かされたのは同級生の友梨ちゃん。友梨ちゃんが里子ちゃんの発言の意味を理解したのは、小学五年生のときでした。ちょうど、そういうことに興味関心が生まれる年頃ですね。そのタイミングで里子ちゃんは友梨ちゃんに釘を刺します。「もし、誰かに言ったら、殺すから」ここで話を変えます。中学生になった友梨ちゃんには、真帆ちゃんという友達がいました。ある日、真帆ちゃんが刃物を持った不審者に襲われます。その現場に偶然居合わせた友梨ちゃんは、真帆ちゃんを助けるために不審者を……。真帆ちゃんは言います。「逃げよう!正当防衛だから!」翌日、警察に連れていかれたのは、友梨ちゃんでも真帆ちゃんでもありませんでした。なんと……無関係のはずの里子ちゃんだったんです。いまの話は物語の序章です。ここから、さらに重大な事件が幾つも起こり、三人の少女たちが大人になって……と続きます。想像以上に壮絶で苦しい物語ですが、本当に面白かった。けど、一つだけどうしても腑に落ちないところがあったんですよね。
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一家三人を惨殺した
平成最後の
少年死刑囚けんご
- 大傑作です。なぜこんなにも素晴らしい作品を今まで読んでこなかったのか不思議でたまらないし、発売当初に読まなかったことを後悔しています。鏑木の正体をその目で見てください。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 長編でじっくりと読書をしたい人
▷ 社会派ミステリが好きな人
▷ 彼の「正体」を知りたい人
今年一番ボロ泣きしました。読後、悔しさとやるせなさで涙が止まらなくなった作品です。物語は平成最後の少年死刑囚の脱獄から始まります。彼の名は、鏑木慶一。犯したとされる罪は、二歳の子を含む一家三人を惨殺したこと——。ただ、一家の中でなぜか一人だけ殺されなかった人物がいました。それが、夫の母である五十代の女性です。ここまでがプロローグ。続く一章は、鏑木の脱獄から455日目から始まります。舞台は千葉県にある老人グループホーム。そこには若年性アルツハイマーを患った五十代の女性がいました。彼女は頻繁に夢を見るそうです。刃物を持った男に、幼い孫と息子夫婦が襲われている夢を——。そう、彼女はあの事件の被害者遺族なんです。そんな彼女のいるグループホームに求人を見た若い男が面接に来ました。彼の名は、桜井翔司。言葉遣いや礼儀も正しく、受け答えもはっきりしているため彼は即採用となります。もう察していると思います。読者目線では、この時点ですでに鏑木と桜井が同一人物であることは明白なんです。なぜ鏑木は被害者遺族に近づこうとするのか、彼の『正体』は一体・・・・・・。著者のあとがきまで泣ける小説は初めてでした。読んでほしい。ただそれだけです。
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不幸だけをかき集めた
地獄のような
恐怖の物語けんご
- 僕が大好きな小説が文庫化しました。不幸中の不幸だけを凝縮したような短編集です。サクッと絶望したい人はこの小説を読みましょう。反面教師にもなるような怖すぎる作品です。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 短編小説集が好きな人
▷ 嫌な話が好きな人
▷ 帯とタイトルにびびっときた人
問題:学校のプールの水を出しっぱなしにして、プールおよそ六杯分……2,200立方メートルの水を無駄にすると、何円くらいの損害が出ると思いますか。これは今年の五月にとある小学校で本当に起こった事案です。もったいぶらずに答えを言いますね。約190万円です。これって、誰が支払うのでしょうか。学校?それとも、教育委員会でしょうか?例に出した事案の場合、半額にあたる95万円をミスした教員と校長が支払っているんです。こういうことって別に珍しくないんですよ。ネットで調べてみるとわかりますが、過去に同じようなことが何度も起こっています。ここで嫌な想像をしてもらいます。そして、嫌な質問もさせてください。もしあなたが教員だとして、プールの水を出しっぱなしにしたとします。不幸中の幸いで、数百万単位の損害は出ずに、計算したところ約13万円分の損害でした。まだ誰にもバレていません。あなたなら、正直に言いますか?それとも・・・・・・、隠蔽する方法を考えますか?この作品は、帯にある通り「もうやめて」と思うほど嫌な話だけで構成された、全5篇の短編小説集です。先ほど質問したプールの話は、二篇目の「埋め合わせ」という物語に関連します。約13万円分のミスをした教員がなんとか隠蔽しようとするけれど・・・・・・。
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あなたは3,000円を
大金だと思いますか?けんご
- ドラマ化もされた、大ベストセラー作品ですが、改めて紹介させてください。どんな年代の方にもおすすめできます。どんな年代の方にも必要な小説です。これから何度も読み返します。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 限りなくリアルな物語を読みたい人
▷ 家族小説が好きな人
▷ 学びのある小説を読んでみたい人
ここに三千円があるとします。これは、あなたの三千円だと思ってください。今から二つの質問をします。質問一、あなたは三千円を大金だと思いますか?例えば、月のお小遣いが五百円の小学生からしたら三千円は大きな金額ですよね。では、働いている大人にとっては、三千円は少ない金額でしょうか?もしかしたら、そう思う人もいるかもしれません。でもこれは、同じ給料だとしてもその人の立場によって変わるはずです。独身ひとり暮らしの人にとっての三千円と、家族がいる人にとっての三千円はきっと違います。質問二、この三千円を自由に使えるとしたら、あなたはどう使いますか?本を買う人もいれば、映画を観に行く人もいるでしょう。良さげなランチに使う人もいれば、誰かへのプレゼントを買う人もいるかもしれません。今回、僕が紹介する小説の一行目にこんなことが書いてあります。「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」物語は様々な年代の女性が抱えるお金の悩みにフォーカスして進む、家族の話です。ぜひ僕からの二つの質問の答えを準備した上で読んでみてください。あえて断定した伝え方をしますね。あなたが大学生、あるいはそれ以下の年代であるなら、今のうちに読んでほしい作品です。将来に生きる、財産になるはずです。
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自ら電車に轢かれた
女子高生の本当の目的けんご
- ご報告です。2023年2月22日にこの小説の著者である木爾チレンさんと結婚しました。ご存じの方も多いかと思いますが、インスタの投稿で改めてのご報告です。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ イヤミスが好きな人
▷ 嫉妬深い人
▷ 憧れている近しい存在がいる人
人気者で美少女な女子高生が自ら電車に轢かれてバラッバラになった事件をご存知でしょうか?彼女は転校生でした。名前は七瀬蛍。誰もが羨む容姿を持ち、蛍は瞬く間にクラスの中心になります。ただそんな彼女が率先して仲良くしたのは、カースト最底辺のオタク女子三人でした。三人から見れば、蛍は別世界の住人。どうして私たちなんかと仲良くしてくれるのかさっぱりわからない。それでも蛍は優しく接してくれて、いつしか永遠の親友と呼ぶほどの関係になります。蛍にとある目的があるとも知らずに——。逆に蛍はオタク女子三人の本心を知らずに——。そして事件は起こりました。人身事故で身体はバラッバラ。蛍と三人の間にいったい何があったのでしょうか。最後に質問です。自分より優れている人、みーんな消えればいいのにって思ったことありませんか?自分が嫉妬深いと思っている人はこの小説に救われるか、もしくは、絶望するかもしれません。
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事故で五感を
失った男の最後の決断けんご
- 以前も紹介したことがありますが、カバーが変わっていたため、改めて紹介してみました。短編の中では、僕が一番と言えるほど好きな作品です。表題作以外も素晴らしいのでぜひ。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 短編小説が好きな人
▷ 傑作と呼ばれる短編を読みたい人
▷ 短編の名手の作品を読んでみたい人
愛する人のために、最愛の妻のために……僕は——を選びたいと思う。結婚から一年、娘が生まれた。妻とは諍いが多くなっていて、たくさん喧嘩した。こんなことが起きるなら、もっと大切にしていたのに……。僕は、交通事故に遭ってしまった。いつ目覚めただろう。その時にはもう……五感を失っていた。唯一、残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。無音の暗闇に取り残されてしまった。それでも、優しい妻は僕を支えようとしてくれた。感覚の残った右手を握ってくれた。指文字を書いて、情報を伝えようとしてくれた。献身的に。ずっと。喧嘩したことを謝りたい。僕の想いを伝えたい。でも、届かない。これ以上は、妻の心身を疲労で壊してしまう。だから、決意したよ。愛する人のために——
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殺された子の
死体目線で進む物語けんご
- 投稿で紹介するのは2回目です。去年の夏ぶりになります。暑い季節になってきましたので、今年も紹介しました。一度は読むべき、と言いたくなるほどの、激推し小説です!
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ゾッとするホラーを読んでみたい人
▷ 短編で読みやすい小説を探している人
▷ 僕の激推し小説を読んでみたい人
今あなたは友達を殺してしまいました。さぁ、それをどこに隠しましょうか?高所から落とされ、私の身体はブッ潰れた。物語の序盤、九歳の少女、五月は、友達の弥生から、軽はずみで殺されます。そこから弥生は、大人たちにバレることを恐れ、兄の健と死体を隠すことにしました。ここまで話を聞いて察していると思いますが、この兄妹の倫理観は大きく欠如しているんですね。さらにこの作品は、兄妹目線で語られるのではなく、殺された五月の死体目線で語られます。大人たちに見つかりそうになる緊迫感。そして、あまりにも残酷な恐怖の結末。蒸し暑くなってきた夜に、この作品で涼しくなりましょう。何度も紹介したくなるほどの、大好きな一冊です。
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椅子の中に潜り込み
女性の肉体を
たのしむ男けんご
- この作品は著作権が切れているので、ネットで調べるとすぐに読めます。文量的にも少なめで無料で読めるという意味でも、気軽な気持ちで楽しめるのではないでしょうか。一度はぜひ!
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 歴史的名著を読んでみたい人
▷ 読みやすい古典的作品を読みたい人
▷ 気軽な気持ちで読書をしたい人
れはある女性作家に届いた手紙に書いてあった内容になります。手紙の差出人は、上等な椅子を作る職人の男。生まれつき、酷い容姿を持っていながらも、胸中では贅沢な生活を夢見て生きていたそうです。椅子職人としての腕前は優れており、大変豪華なものを作り上げていました。そして、出来上がった椅子に一番乗りで座り、楽しい妄想をしていたんです。どんな人が座るのだろう、どんな場所で使われるのだろう。しかし、妄想から現実に戻ると、激しい虚無感に襲われます。さらには、「こんな生活をするなら死んだほうがましだ」と思うようになったそうなんです。死んでしまうくらいなら——男はとんでもないことを思い付きます。それは、ホテルで使われる予定の椅子に潜り込むというものだったんです。当初の目的は、人のいなくなったホテルで盗みを働き、裕福になることでした。ただ、男の目的は徐々に変化していきます。ある感触を覚えてしまうんです。自分が潜り込んだ椅子に座る人々の体温や匂いの心地よさを知ってしまったんです、それはもはや、快楽に近いものでした。ではなぜ、男はこの話を手紙に書いて、女性作家に送ったのでしょうか。それはこの男が女性作家と・・・・・・
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全校生徒の目の前で
飛び降り自殺した
人気教師けんご
- はいきました、今年(2023)トップクラスの小説です。特に中高生の方には読んでほしい反面、読んでほしくない思いもあります(←読めばわかる)。最高の読書体験を約束するので、書店でぜひ!
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 学校が関係する謎物語を読みたい人
▷ 一気読みできる小説を探している人
▷ 推理が楽しい小説を読んでみたい人
これはある高校で起こった悲劇の話です。全校生徒がグラウンドに集まる避難訓練中のことでした。校長先生の長い話に生徒たちが飽き飽きし始めた頃です。「ねえ・・・・・・あそこに誰かいない?」異変に気がついた一人の生徒が屋上を指さします。その声につられるように、次々と皆が屋上を見上げます。なんと、屋上のフェンスの外側に人の姿があったんです。そこにいたのは、学校一の人気教師でした。「マジで?」「ヤバすぎるだろ!」生徒たちはざわめき始めます。悲鳴も飛び交います。「バカなことはするな」「動くんじゃない!」怒鳴るように教師たちが声を飛ばします。異様な雰囲気に包まれ始め、その場にいた全員が最悪の事態を想像します。止めようとした教師たちの声は届くことなく、身体は真っ逆さまに宙を舞いました。そして・・・・・・地面に叩きつけられ、砕けるような音がグラウンドに響きます。なぜこんなことになってしまったのか——。自殺した教師が担任を務めるクラスの黒板には、このようなメッセージが書かれていました。「私が先生を殺した」 ということは、この事件は自殺ではなく、他の誰かの犯行なのでしょうか?学校という組織の良いところも悪いところも知れてしまう、僕が一気読みした激推し小説です。
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ブタの臓器を
全身に移植された少女けんご
- すべてが繋がり、真相が明らかになるとき、あなたはきっと絶望感に襲われるはずです。どうか食事の前には読まないでください。著者の小林泰三さんに感謝です。偉大です。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ホラー小説が好きな人
▷ 倫理的に考えさせられる物語が好きな人
▷ 異常な世界観を楽しみたい人
これは、ブタの臓器を全身に移植された少女の話です。パッチワークガール。そう。私は継ぎはぎ娘。彼女には先天性の病により、ほとんどの臓器に欠陥がありました。そのため、生後まもないころから度重なる移植手術を受け続けていたんです。そんな彼女の手術を担当していたのは、実の父親でした。父は臓器移植の専門医だったんです。彼女の体は手術によってできてしまった継ぎはぎだらけでした。生きていくための手術だからとはいえ、見た目に損傷が残るのは、あまりにも辛いことです。そこで彼女は、高校生の頃に皮膚移植をすることになります。ある一箇所だけを除いて——。彼女が大人になるころ、父が病気で死亡しました。その後、彼女は父の部屋に保管されていた研究記録を調べることにしたのです。そこで、驚愕の事実を知ることになります。残念なことに、彼女の体に移植された臓器は人間のものではなかったんです。ブタの臓器でした。胃も角膜も声帯も、すべてブタのものなんです。カラダの中はブタのものだらけ。いつしか彼女は、自分の体が人のものなのかブタのものなのか、わからなくなってしまいます。・・・・・・驚愕の事実はこれだけではありません。彼女には母親がいないんです。彼女はどうやって生まれたのでしょうか。父親は本当に彼女を助けるために手術をしていたのでしょうか。そもそも、彼女に臓器移植は必要だったのでしょうか——。
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たった80分しか記憶が
もたない天才けんご
- この小説を読むと、きっと数学がいとおしくなると思います。感動とか、そんな簡単な言葉では片付けられないほどの名作です。名著はいつ読んでも名著。未読の方も再読の方も、ぜひ。
- 読みやすさ
- ★★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 文章の美しい小説を読みたい人
▷ どこか悲しく温かい物語を読みたい人
▷ 日本文学史に残る名著を読みたい人
ため息が出るほど素晴らしい作品で、何度も読み返しています。語り手はシングルマザーの家政婦。物語は、彼女がある数学博士の家に派遣されるところから始まります。その数学博士はある重大な問題を抱えていました。記憶が80分しかもたないんです。ぼけているわけではありません。六十四歳の博士は十七年前に起こったある出来事が原因となり、記憶の蓄積が完全にストップしてしまっています。だからこそ、来ている背広のいたるところにメモ用紙をクリップで留めているんです。大切なことをメモしていつでも見返せるように。その中の一つが…〈僕の記憶は80分しか持たない〉博士からすれば、家政婦は常に初対面。だって覚えられないのだから。家政婦ほどのようにして博士と向き合うのか。なぜ博士は記憶が80分しかもたないのか。博士の愛した数式とは一体どのような数式なのか。この小説は記憶の蓄積ができない博士と、シングルマザーの家政婦、そして彼女の息子が織りなす愛の物語です。
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この上ないグロ描写と
精神的苦痛が詰まった小説けんご
- シリーズを読む順番は殺人→残酷→監禁です。読み始めたら最後、読書依存症になります。痛々しいのは残酷、精神的にきついのは監禁でした。この冬に一気読みして最高の読書にして下さい。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ミステリ小説が好きな人
▷ シリーズ作品を一気読みしたい人
▷ 過激で苦しい描写に耐えられる人
突然ですが、グロテスクで痛い想像をしてもらいます。皆さんは何者かに襲われ意識を失いました。目を覚ますと、そこは浴室だったんです。両手を背中に回され、拘束されています。どうやら足首も拘束されているようなんです。これでは身動きが取れません。それに足先に強い痛みを感じるんです。感覚の鈍い両膝を曲げて、何とか足先を見ようとします。(見るな。やめておけ。)心の片隅ではそう思っているのに、視認せずにはいられません。そして、己の指先を見てみると…両足の小指と親指が切断され、傷口がホッチキスのような針で、ひどく不格好に留められていたんです。…はい、いまの話を聞いて、過激さに耐えられそうな人は今回紹介する小説をぜひ読んでください。この三冊はシリーズ小説となっています。没頭して一気読みしました。ただ、2023年に読んだ小説の中でぶっちぎりに過激だった作品です。作中では数多の凄まじい犯罪がいくつも起こります。投稿ではとても説明できないほど極悪非道なものです。それら犯罪にはある共通点があります。それは、とある人の…詳細に言うとネタバレにつながるので控えます。その代わり、各作品の公式あらすじをキャプションに固定させてください。
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最後の一行で物語が一変
してしまう驚愕の小説けんご
- 僕はかなり注意深く犯人を探しながら読んでいたのですが、最後の一行にやられてしまいました。これは予想できません。時代背景は違いますが、現代にこそ読まれる『噂』の物語です。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ 長編ミステリーが好きな人
▷ 最後の一行の衝撃を味わいたい人
▷ 噂を信じやすい人
…をご紹介する前に一度見ていただきたいものがあります。それが、本作の帯です。
これはハードルを上げざるを得ませんよね。加えて、慎重に疑いながら読んでしまうわけです。内心ではさすがに煽りすぎだろと思いながら読みました。しかし、まんまと驚嘆させられたのです。僕が何度も読み返すほど傑作だと思う小説が『噂』という作品になります。「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルを付けてると狙われないんだって」渋谷の女子高生を中心に、このような不気味な噂が流れ始めます。ミリエルとは香水の新ブランドです。その噂はいつしか都市伝説となり、香水は大ヒットを記録します。ただ、これには裏があったんです。なんと企業側がこの不気味な噂を仕組んでいました。人の心理を利用したマーケティング施策で、渋谷の女子高生たちをモニターとしてスカウトし、ネガティブな噂を広めさせたのです。確かに香水は売れました。問題はこの後です。ある日、足首のない女子高生の遺体が発見されました。噂が現実となってしまったのです。しかも、連続殺人として事件はつづいていきます。「レインマン」は本当にいるのだろうかーー。購入する試し読み
とある学校の”転校生”が
気持ち悪くてたまらないけんご
- 【闇ハラ】闇ハラスメントの略。心の闇から生じる自分の負の感情を一方的に相手に押し付けること。
……これはとても他人事にできないホラーでした。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ この夏にホラー小説を読みたい人
▷ 人の悪意に苦しめられた経験がある人
▷ ”闇”を抱えている自覚がある人
とある高校に転校してきた男が気持ち悪くてたまらないんです。これは、原野澪という優等生に降りかかる邪悪で恐ろしい”闇”の話です。澪が通う高校のクラスに白石要という男子生徒が転校してきました。不気味な雰囲気が漂う男でした。その白石の様子が、何やらおかしいんです。転校してきた初日から、澪のことをずっと見ているんです。放課後、澪は担任の先生から白石に学校案内をするように頼まれていました。案内中、会話は全くと言っていいほど弾みません。しかし、突然白石が澪を震え上がらせる一言を発します。「原野さん」「今日家に行ってもいい?」その顔は凶悪そうな不気味な笑顔でした。身の危険を感じた澪は、先輩男子生徒に助けを求めます。神原一太という、澪があこがれている先輩でした。神原は献身的といえるほどに澪を守ろうとしてくれました。……のですが。あなたは、自身が抱える”闇”を他人に押し付けたりしてませんか?良かれと思い、都合よく無意識に悪意を振りまいていませんか?この物語は他人事にしてはいけない。あなたが当てはまるのは、澪か、神原か、それとも白石か、実際に読んで確かめてください。
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性行為が異常
とされた世界けんご
- 最近、再読しました。村田沙耶香作品を読むことでしか得られない栄養があります。尊敬という意味で、どんな人生を送ったらこんな物語が書けるんだと、不思議に思うばかりです。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ifの世界を描いた小説を読みたい人
▷ 価値観のあり方を考えてみたい人
▷ 複雑な感情になる小説を読みたい人
性行為ではなく、人工授精で子供を産むことが定着した世界の話です。この世界では子供を産むために、性行為をする必要がありません。いつしか性行為は過去の人間がしていた名残となってしまいました。愛のためにも、快楽の為にすらも必要とされなくなったのです。この世界では恋愛観も変化しています。夫婦で愛し合うことが異常なんです。夫婦間の性行為はタブー視されています。結婚とは、性的な目で見たり恋愛対象にしないことを誓うことなのです。パートナー以外と交際することは当たり前。僕らが生きている現代とは、まるで価値観が違っています。そんな世界で雨音という名の女性は、「両親が愛し合った末」に生まれました。人工授精で生まれることが当たり前となった世界では、雨音の生まれ方は極めて異常です。しかし、雨音の母親は彼女が幼い時から名残となった価値観を植え付けていたのです。「雨音ちゃんも、いつか好きな人と愛し合って結婚して、子どもを産むのよ。お父さんとお母さんみたいに。そして愛する二人で、大切に子供を育てるのよ。わかった?」これは普通ではない生まれ方をした雨音と価値観がさらに変わりゆく世界を描いた物語…あなたにとってこの世界は、ユートピアですか?ディストピアですか?
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涙を流すと死に至る病
けんご
- 「よめぼく」シリーズ第4作目になる一冊。シリーズですが、それぞれが独立した物語なので、一冊で楽しむことができます。特に十代を中心に支持される、大ヒットシリーズです。
- 読みやすさ
- ★★★★
- どんな人に
読んでほしい? - ▷ ライト文芸作品が好きな人
▷ 特殊設定の恋愛小説を好んでいる人
▷ 他シリーズ作品を読んだことがある人
号泣するだけで死に至る病、「涙失病」をご存じですか?まずは皆さんに問題です。一般的に人が号泣すると、どのくらいの量の涙が流れると思いますか?答えは最後に発表するので考えてみてください。「涙失病」は号泣と呼ばれるほどの涙を流すと、死に至る病です。そしてこれは、「涙失病」を患った男子高校生の話になります。彼は救いを求めていました。救いとは、「涙失病」を完治させることではありません。自分の心を動かすほどの何かと出会い、涙を流し、いっそのこと死んでしまうことが彼にとっての救いでした。「涙失病」を発症してからというもの、彼は感情を失ってしまったんです。泣かないように努力すれば、周りから冷酷人間と言われる。だったら人間関係なんて捨てたほうがましだーー。そんな感情を抑えて生活をするうちに、嫌気がさしてしまったんです。彼は泣けるといわれる映画や小説などを、積極的に見たり読んだりするようになりました。涙を流して死ぬために、自分を救うためにーー。だけど、ちっとも感情は動かされません。彼のクラスには、異常と言えるほど泣き虫な女子生徒がいました。だから、彼は彼女に救いを求めたんです。僕を泣かせてほしいと。僕も君のように泣いてみたいと。タイトルで察したかもしれませんが、「涙失病」の彼だけでなく、彼女にもある秘密があります。そして最後に、一般的な号泣の涙の量は、小さじ一杯分です。
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