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講談社_【夏電書2022】クーリエ・ジャポンpresents あの著名人の「推薦図書」フェア
<夏電書2022スペシャル企画>
日本を代表する著名な知識人の推薦図書をコメント付きで紹介する、クーリエ・ジャポンの人気コーナー「今月の本棚」。こちらのフェアでは、「今月の本棚」でピックアップされた推薦図書の電子版を特別価格でご案内します。
池上彰
【プロフィール】1950年、長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。報道記者としてさまざまな事件、災害、消費者問題、教育問題などを担当する。1989年、ニュース番組のキャスターに起 用され、1994年からは11年間にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーランスのジャーナリストとして、執筆活動を続けながらテレビ番組などでニュースをわかりやすく解説し、幅広い人気 を得ている。著書多数。
推薦文:蒙古襲来は「神風が吹いた」からなのか。本能寺の変で織田信長が殺害されたとき、備中高松城にいた羽柴秀吉は、どうやって短時間で京都に戻ることができたのか。日本史の出来事を科学 的に検証してみせるという奇想天外な企画。科学読み物ですが、推理小説を読むようです。
廣部泉
1760円1232円(税込)
推薦文:アメリカでアジア系の人たちに対する暴行事件が相次いでいます。コロナ禍が影響していると指摘されますが、こうした危機的状況になると、アジア系の人たちに対する恐怖心が頭をもたげ 、差別が始まります。そこには根強い「黄禍論」の存在があります。黄禍論とはどういうことかを学ぶのに最適です。
出口治明
891円623円(税込)
推薦文:50代から新規事業に身を投じ、70代のいまも立命館アジア太平洋大学の学長を務める出口さんの元気の源はどこにあるのか。あなたが還暦前であっても、定年前であっても、生涯に渡って学 び続け、いつまでもいきいきと生きていけるヒントが詰まっています。
推薦文:韓国とは、これほどまでに生きにくい国になってしまったのかと驚かされる実態。政府が新自由主義的な政策を採用したことで、あらゆる世代が競争に駆り立てられ、「超格差社会」が誕生 してしまいました。「まずは自助を」と首相が言う国にとって、いまの韓国は近未来かもしれません。
國分功一郎/互盛央
935円654円(税込)
推薦文:本が大好きな哲学者と出版社の編集者による本をめぐるエッセイ。相手が語った本への愛に触発されて、こちらも別の本への愛着を語る。本についていつまでも語り尽くせる友人がいること の喜び。こんな友人を持ちたいと思いませんか。
酒井啓子
【プロフィール】国際政治学者。千葉大学グローバル関係融合研究センター長。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)を卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号、その後、京都大学で博士号(地域研究)を取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として出向。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授を経て、現職。専攻はイラク政治史、現代中東政治。著書多数。
推薦文:こちらも、「イスラーム世界、なんてつい言っちゃうけど、そんなものは本当にあるの?」という自問から始まります。グローバル・ヒストリー研究の第一人者が、日本独特のイスラーム世界観の問題点を歴史を紐解いて論じますが、こうした空間措定が9.11の「自由で民主的な我々」対「テロリスト」という、二項対立的な考えにつながる危険性を指摘します。
酒井啓子
825円577円(税込)
推薦文:とはいえ、「中東情勢についてのわかりやすい解説本」は必要ですよね。前著「〈中東〉の考え方」(講談社現代新書)を出版した直後に「アラブの春」が起き、IS(イスラム国)が出現。さらにアップデートしたのが本書です。中東の問題は、宗教や民族に本質的に付随するのではなく、植民地政策や冷戦など、国際政治のうねりのなかで生まれてきたと論じます。
松尾昌樹
1485円742円(税込)
推薦文:日本が原油輸入の9割近くを依存している中東の産油国。サウジアラビアなど、ペルシア湾岸のアラブ諸国のほとんどが君主制で民主化とは程遠く、中東の中でも特に「異常」に見えます。富裕で宗教的に保守的な国民と、その何倍もの外国人の低賃金労働者が併存する湾岸の王朝が、なぜ倒れないのかを解き明かし、これこそグローバル化のひとつだと論じます。
大塚和夫
1100円550円(税込)
推薦文:中東で事件が起きるたび「イスラームってどんな宗教?」と問われがちですが、絶対的で普遍な「イスラーム」の存在に着目するのではなく、イスラーム教徒がそれぞれ「イスラームって何」と模索している、それが多様な「イスラーム的な」思考と行動を生み出していることを見ることが重要だと論じます。フィールド調査から得られた文化人類学者の鋭い視点。
臼杵陽
1100円770円(税込)
推薦文:中東のさまざまな問題の底流にあるのが、イスラエル・パレスチナ問題。一千年以上続く宗教対立のように理解されがちですが、世界史を紐解いてパレスチナ問題がいかにヨーロッパ近現代史の「つけ」として発生したか、パレスチナ問題と一見関係なさそうにみえる9.11やイラク戦争も、パレスチナ問題と密接にかかわっている、と指摘します。
岸見一郎
【プロフィール】哲学者。1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門のギリシア哲学と並行し、アドラー心理学を研究。2013年に出版した共著『嫌われる勇気』は250万部を超え、アドラー心理 学を世間に浸透させた。著書に『子どもをのばすアドラーの言葉 』『幸福の哲学 アドラー×古代ギリシアの智恵』『人生を変える勇気』ほか多数。共著に『幸せになる勇気』。
中畑正志
935円654円(税込)
推薦文:ソクラテスは、どこから話を始めても必ず自分の生き方へと話を持っていったといわれています。プラトンも対話篇を読む人に、自分の問題として、自分自身で考え、判断し行動することを促します。本書は通り一遍の入門書ではありません。著者と共にゆっくり考えなければなりません。「でも哲学は、急がないし、急ぐべきではない」(はじめに)
稲垣良典
880円616円(税込)
推薦文:真正な知恵の探求(哲学)だけが自己を知ることを可能にし、「神とは何か」という問いを導く形而上学的な自己認識によらなければ「人間とは何か」を認識できず、人間として善く生きる 道を見出すことはできないと著者はいいます。自分自身に立ち返る「自己発見への知的な旅」であれば、いつでも出かけられます。
黒井千次
825円577円(税込)
推薦文:いつまでも若いことを称揚するのではなく、誰もが老いるという現実に向き合わなければなりません。「自分は年を取ったという自覚は、老いの問題を考える上で潜らねばならぬ大切な門」 だと黒井はいいます。老いの悲惨さ、社会や時代が課する過酷な条件に目を瞑ることはできません。それでも、老いをどう受け止め、老いにどう向き合うかは自分で選ぶことができます。
鷲田清一
770円539円(税込)
推薦文:「わたし」とは「誰」かという問いへの答えは、自分の内部ではなく、他者との関係に見ていかなければなりません。「わたし」は「他者の他者」として、他者の中に意味のある場所を持ちたいと願うのですが、本書を初めて読んだ頃、いつも他者の期待に合わせようとしている若い人たちに、他者の期待に反する勇気を持とうという話をしていたことを思い出しました。
南直哉
715円500円(税込)
推薦文:人は気がつけばこの人生に生まれてしまっているのであり、身体も名前も自分で選んだわけではなく、生きる意味も知りません。著者は、そのような「他者に課せられた自己」を受容するか 否かという「決断」に善悪を根拠づけています。教育から尊厳死、安楽死、死刑まで南の議論は明快で、今の世の中に起きる理不尽な出来事を理解する視座が与えられます。
松岡正剛
【プロフィール】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。日本文化、芸術、生命哲学、システム工学など多方面におよぶ思索を情報文化技術に応用する「編集工学」を確立。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開している。『知の編集工学』、『日本文化の核心』、シリーズ「千夜千冊エディション」など著書多数。
推薦文:ヒトは情報でできている生物である。生命誕生とともに遺伝情報だけではなく、多くの生体情報が出入りして「情報の編集」を進行させてきた。いまその仕組みがゲノムで読めるようになった。
互盛央
1155円808円(税込)
推薦文:エスとは自我のこと。フロイト以降の概念であるが、実際にはずっと以前から議論されてきた。その系譜を追う試みはほとんどなかったのだが、講談社の編集者が挑戦してくれた。
赤坂真理
770円539円(税込)
推薦文:この作家には『東京プリズン』という傑作がある。天皇の戦争責任をめぐっての高校生の体験を書いた。本書はその問題意識をさらに戦後日本の嵐のような放埒の中で捉えたもの。
推薦文:量子力学は世界の見方を一変させた。そこには「極小のかたまり」や「確率的把握」や「不確定性」という見方がある。量子コンピュータ時代を前に、この世界の見方を味わっておいてほし い。
青木健
1815円907円(税込)
推薦文:青木健はオリエント・中東・古代宗教について最も斬新な歴史観をもつ研究者である。本書のアーリア文明論は、西洋と東洋を両眼視するための好著。アーリアがわからなければ現代史は見えない。
山口周
【プロフィール】独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。慶應義塾大学文学部、同大学院文学研究科修了。電通、BCG等で戦略策定、文化政策、組織開発等に従事。『ビジネスの未来』、『世界のエリートはなぜ「美 意識」を鍛えるのか?』、『自由になるための技術 リベラルアーツ』など著書多数。
國分功一郎
891円623円(税込)
推薦文:スピノザの思想はとても朗らかで明るい。その「朗らかさ、明るさ」こそ、現在のように先の読めない閉塞感のある時代において最も求められているものでしょう。さすがスピノザ研究者の 第一人者による解説と云うべきか、スピノザの言説が内包する「明るさ」を本書ほどわかりやすく解き明かしてくれた本はこれまでなかったと思います。一読した読者は雲間から指す光明を見たような気持ちになるでしょう。
大澤真幸
1430円1001円(税込)
推薦文:著者の大澤氏は本書の冒頭で次のように指摘しています。社会学という学問は非常に歴史が浅い、そしてその歴史の浅さには理由がある、それは「私たちは何者なのか?」という近代以降の 自己意識の一つの表現が社会学という学問だからだ、というものです。ヴェーバーやアーレントといった哲学者・社会学者がどのような社会的・歴史的文脈で登場したのかの全体像を一つの物語として理解したい人にとってこ れほど好適な本はないと思います。
中根千枝
715円500円(税込)
推薦文:私たちの社会を覆う閉塞感を「タテ関係の序列」という切り口から解き明かしたのが著者の中根千枝でした。社会の状況に大きな変化が起きなければ、年長者の経験や知識は社会にとって大きな価値を持つでしょう。しかし、社会の流動性が高まれば、タテ関係を支配する年長者の経験や知識はむしろ足枷となって変革を阻みます。ではどうするか? 組織に所属している人であれば必読の一冊だと思います。
永井均
715円500円(税込)
推薦文:ニーチェは思想の劇薬です。筆者の永井均氏は冒頭で「ニーチェは世の中を良くする役に立たない。そのことが彼を稀に見るほど偉大な哲学者にしている」と指摘していますが、全くその通 りだと思います。「効かない」のではなく「効きすぎるの」です。道徳や善悪といった価値基準が揺らいでいる今という時代だからこそ、世の風潮に右顧左眄することなく荒野に自分の両足で立ったニーチェの構えを見習いたいものです。
泉谷閑示
825円577円(税込)
推薦文:多くの人々は、呪いを、迷信が信じられていた近代以前の時代の遺物だと思っています。とんでもありません。今日ほど人々が呪いによって身動き取れなくなっている時代はありません。呪 いとは「人から自由度を奪う言葉」のことです。そしてその最たるものが「普通がいい」という呪いです。本書は、精神科医にして思想家の著者が説く「呪いから自由になるための手引き」と言えます。
三牧聖子
【プロフィール】高崎経済大学経済学部准教授。アメリカ外交・平和運動研究。1981年生まれ、2012年東京大学大学院総合文化研究科より博士号取得。著書に『戦争違法化運動の時代―「危機の20年」のアメリカ国際関係思想―』など。
吉田徹
1045円731円(税込)
推薦文:日本でも世界でもリベラルの旗色が悪い。しかしリベラリズムは歴史的に、革命や男女平等、福祉国家の発展など、様々な世界史的な発展を促してきた。市場主義や個人主義の行き過ぎへの反省から、不平等の是正を目指す社民主義や、マイノリティのエンパワーメントを目指す「寛容リベラリズム」が生み出された。この自己修復力ゆえに、リベラリズムの時代は簡単には終わらないと著者は明言する。
キャロル・グラック
880円616円(税込)
推薦文:第二次世界大戦から75年以上経つが、自国の犠牲者を称える「国民の物語」から各国は抜け出せず、歴史をめぐる軋轢を生んでいる。グラック教授と日中韓、インドネシア、カナダ、アメリカなど多様な出自の学生の対話は、自国中心の歴史観をどう乗り越えるかに関するヒントに富む。「私たちに変える責任があるのは過去ではない。未来なのだ」という教授の言葉通り、歴史を学ぶことは未来を切り開く行為なのだ。
井上寿一
880円616円(税込)
推薦文:敗戦後、幣原喜重郎内閣は、敗戦の原因と実相を調査する旨を閣議決定し、戦争調査会が始動した。日本が自立的に戦争原因を追究した貴重な試みだ。様々な政治的な制約もある中、調査会は懸命に資料を収集し、戦争原因や戦争責任について率直な議論を行った。不都合な事実もすべてかき集めて公表し、後世に判断を委ねようとした戦争調査会の試みは、公文書管理のずさんさが問われる昨今、さらなる意義を帯びている。
平野啓一郎
770円539円(税込)
推薦文:自分を否定して人生を送るのはつらいが、自分を丸ごと愛するのも難しい。「分人主義」は、このジレンマにこう答える。唯一無二の「本当の自分」などいない。家庭や職場、友人、SNS空間、対人関係ごとに見せる複数の顔すべてが「本当の自分」であり、1つでも愛せる「分人」がいれば生きていける、と。ヴァーチャル空間やアバターの発展を受け、今日も進化し続ける「分人主義」の不変のエッセンスを収めたベストセラー。
辻隆太朗
825円577円(税込)
推薦文:陰謀論は一部のパラノイアのものではない。2020年大統領選直後の米国では、共和党支持者の6割以上が根拠のない前大統領トランプの「不正選挙」の訴えに同調した。陰謀論は現実に私たちに迫る危機なのだ。陰謀論には様々なバリエーションがあるが、その中核的な要素には共通したパターンがあると著者はいう。国内外の様々な陰謀論を読み解く本書は、陰謀論からどう自分や社会を守るのかを探る実践の書でもある。
斎藤幸平
【プロフィール】1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。専門は経済思想、社会思想。『大洪水の前に』によって、権威ある「ドイッチャー記念賞」を歴代最年少で受賞。2021年の新書大賞を受賞した『人新世の「資本論」』は45万部を超えるベストセラーに。
推薦文:資本主義のグローバル化、AIの技術進歩、新型コロナウイルスのパンデミックなど、私たちの生活を激変させている現代社会。そのような激変する世界を前に、哲学という営為の歩みは遅く、人文学は危機的状況に陥っている。一方で、表層的な変化に振り回されるのではなく、欲望の本質を見抜き、自由を手に入れるための思考への渇望もある。そのような「使える哲学」を求めるなら、本書が一つの答えになるはずだ。
篠原雅武
1925円1347円(税込)
推薦文:今、注目を集める「人新世」の概念。人類が地球を改変する地質学的時代に現代は突入している。だが、その結果として引き起こされる気候変動によって、人類が絶滅するとしたら──。人類が絶滅した後に、哲学に役割はあるのか。人新世からとらえなおす人間のあり方と責任。
井上智洋
1430円1001円(税込)
推薦文:コロナ禍で救世主として注目される現代貨幣理論(MMT)。だが大胆な財政出動で、本当に財政破綻しないのか? インフレが起きたらどうするのか? 異端とされる反緊縮理論の仕組みをわかりやすく説明し、新しい社会の可能性を問う。フルオートメーション化とベーシックインカムで資本主義を突破する日本版加速主義者による決定版。
推薦文:プラトンから始まり、デカルト、カントを経由し、ラカン、デリダ、ドゥルーズまでをカバーする創造と狂気の歴史的変遷。これまでに議論し尽くされてきたかに思われる偉大な思想家たちを精神分析の視点から新たに読み直し、これほどわかりやすく整理できるとは。松本卓也の才能に嫉妬する一冊。
佐藤嘉幸/廣瀬純
2145円1501円(税込)
推薦文:ドゥルーズとガタリの思想は難解である。だが、間違いないのは、それが革命の思想だということだ。時代とともに、彼らの理論は変遷しつつも、彼らは資本主義を突破する可能性を一貫して思考し続けた。資本主義の限界が浮かび上がるコロナ禍においてこそ読み直すべきフランス現代思想をわかりやすく解説した名著。
松尾豊
【プロフィール】1997年、東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。産業技術総合研究所研究員、スタンフォード大学客員研究員を経て、07年に東大大学院工学系研究科准教授。19年、教授に就任した。専門分野は人工知能、深層学習、ウェブマイニング。17年から日本ディープラーニング協会理事長。19年、ソフトバンクグループ社外取締役。20年、人工知能学会、情報処理学会理事。
推薦文:脳における「ニューロン以外」の部分で、最近わかってきたことを紹介した本。新しい知見がふんだんに盛り込まれていて面白く、また、大変読みやすい。脳はニューロンの活動「だけ」が重要であると思っていたことがいかに間違っているかを教えてくれる。
谷口忠大
1705円852円(税込)
推薦文:ロボットがどのように記号を獲得するのか。その背後にあるメカニズムは何か。心や意識とは何か。こうした疑問に、最先端の人工知能研究者が、丁寧に説明していく。専門的な内容ではあるが、今後の知能研究では、最も重要な方向性について書かれた内容であり、人工知能の将来を考えたい人にはお勧めしたい。
村山斉
1012円708円(税込)
推薦文:宇宙論は、最近、進展しており、その内容を世界最先端の研究者が平易に解説してくれる。素人が持つ疑問にも答えてくれながら、次第に壮大なスケールの話が展開され、読んでいるうちにわくわくして興奮してしまう。宇宙に関する興味深い本は多いが、その中でも非常に読みやすい本のひとつである。
金谷武洋
1595円797円(税込)
推薦文:20年前に読んで衝撃を受けた本。「国語」で当たり前のように習ってきたことが、再考の余地があること、そして、人間の言語や認知の仕組みがいかに奥深いかを考えさせられた書である。内容的には議論が多い本であるが、本書をきっかけにぜひ言語や認知の世界を探求して欲しい。
中野信子
【プロフィール】1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに、人間社会に生じる事象を科学の視点をとおして明快に解説し、広く支持を得ている。著書多数。
推薦文:子供の頃からブルーバックスはよく読みました。ホーキング博士は憧れの存在で、その研究は「夢を抱かせてくれる科学」でした。こうした科学は、今日、明日を生きるためには役立たないかもしれませんが、科学の持つトキメキ感を思い出させてくれます。子供の頃は理解できなったものも、大人になった今なら面白く楽しめます。
中沢新一
1595円1116円(税込)
推薦文:私がいま研究対象として関心を持っている分野について書かれた本。中沢さんの本は、学ぶことの喜び、自分の頭で考える楽しみを与えてくれて、たとえば、この本では神話の構造を読み解く楽しみが味わえます。こういうふうに思考を構築できるんだ、という“知的な冒険”の方法を学ぶ上で良いロールモデルです。
畑村洋太郎
825円577円(税込)
推薦文:畑村先生は20年以上も前から「失敗学」を提唱し、失敗の重要性を説かれています。ただし、「失敗は糧になる」と唱えても、失敗への恐れをなくすのはそう簡単ではありません。そこで、この本では「失敗からの回復」に着目しています。痛い目にあっても、再び立ち上がれば失敗は財産になる。いまこそ重要なテーマだと思います。
大栗博司
1078円754円(税込)
推薦文:大栗先生には一度お会いしたことがあり、丁寧で謙虚だけど鋭いところを目の当たりにして「こういう人を天才というのか」と感じて以来、ずっと“推し”です。物理の難解な内容を広く伝えていこうという態度からは、科学者はこうあるべきという姿を学ばせていただいています。この本を読んで、大栗先生のすごさをぜひ多くの人に知ってほしい!
鴻上尚史
880円616円(税込)
推薦文:劇作家・演出家である鴻上さんは、大衆というものを非常によく理解している方だなと思います。「空気」と「世間」について読みやすい形で説明されていて、私たちが安易に「世間ってこういうものだよね」と受け入れてしまっているものを、少し距離をおいて冷静に向き合う視点を与えてくれます。
成田悠輔
【プロフィール】専門はデータとアルゴリズムを使ったビジネスと公共政策の改造。サイバーエージェントやZOZOなどと共同研究・事業に携わる。米イェール大学助教授、半熟仮想株式会社代表。
小川淳也/中原一歩
869円608円(税込)
推薦文:地盤・看板・カバンのない平民はなぜ総理大臣になれないのか? みじめに体を張って答えを示すのが小川淳也さんだ。平民であるにもかかわらず総理になれた菅義偉や田中角栄との違いを考えることで、「なぜ総理大臣になれないのか?」という問いの本質が見えてくるかもしれない。
カール・マルクス/丘沢静也
880円616円(税込)
推薦文:マルクスの本を今読み直すと、論理的には支離滅裂、実証的には嘘八百で閉口することが多い。だが、だからこそマルクスの言葉が世界を変えたのかもしれない。『資本論』がマルクスの資本主義論であるとすれば、本書はマルクスの民主主義論である。うん、いたるところ支離滅裂で嘘八百でわけがわからない。だがそれでいい。

「見当もつかないほど革命の目的が大きいので、革命は尻込みを何度もくり返す。尻込みをしなくなるのは、どんな後戻りもできない状況になったときだ。するとその環境のほうが、こう呼びかける。

ここがロードス島だ。ここで跳べ!
ここにバラがある。ここで踊れ!」
アントニオ・グラムシ/上村忠男
1815円1270円(税込)
推薦文:アントニオ・グラムシは抵抗者の側から国家を見た。戦前イタリアで誕生したムッソリーニ独裁政権への反政府運動を主導し、獄中で死んだグラムシは「認識においては悲観的に、意志においては楽観的に」の合言葉で知られる。グラムシが遺した体系を持たない獄中日記は、体系化を拒む政治と国家の本質を暗示しているのかもしれない。
牧野雅彦
1925円1347円(税込)
推薦文:本を批判したり論評したりすることは簡単だが、正確に要約することは難しい。大著であればあるほどそうだ。ハンナ・アーレントの大著『全体主義の起源』の正確な要約を目指す本書は、よくヒトラーやスターリンの話だとざっくり思い込まれているこの本のイメージの矯正をしてくれる。ここにあるのは、当事者から見たナチスの総括などではなく、世界中に大小様々な形で現れつづける全体主義という国家の生活習慣病の発生学だ。この本を貫くのは、19世紀からのネーション・ステート・資本の三位一体主義、帝国主義、そして人種主義などが絡み合って全体主義を作り出す「主義・イデオロギーの化学反応」とでも呼ぶべき構造的視点だ。全体主義の時代を生きたアーレントの個人史を超えて、全体主義という病へといたる世界史が現れる。
坂口恭平
715円500円(税込)
推薦文:「何かを「変える」ことが革命なのではない。むしろ、革命がすでに起きていることを、思考の転換によって見つけ出すことができる。それは「変える」というよりも「拡げる」方法論である。生き方は無数にあるということを気付く技術」だという気づきからはじまる「独立国家のつくりかた」には、天下国家の政治の話も経済の話も外交の話も出てこない。トップダウンの国家変革より、隣のおっさんの生態観察からボトムアップの国家工作を目指す唯一無二の書。
中島岳志
【プロフィール】東京工業大学リベラルアーツ研究教育院/環境社会理工学院・社会人間科学コース教授。現代日本政治や日本思想史、インド政治などを研究。
推薦文:著者の原は天皇研究をずっとやってきた一方で、非常に熱心な鉄道ファンでもある。そして、この2つの分野がクロスした本書で、原はものすごいエネルギーを発揮している。阪急梅田駅問題が取り上げられているが、阪急梅田駅とJR大阪駅の乗り換えの悪さの背後にあった「お召し列車の上をまたぐ形で線路をつくるとは何事だ」という国家の論理が「民都」大阪に介入し、それに屈していくという時代を描いていて、ただただ面白い。こういう視点から天皇制の本質を明らかにできるのかと唸らされた一冊。
藤村安芸子
990円495円(税込)
推薦文:満州事変の首謀者の一人とされる石原莞爾研究で最も良い書籍の一つ。この本が面白いのは、若き日に中国の漢口に駐在した石原が、妻に宛てて書いた手紙を徹底的に研究していることだ。石原は妻との一体化を求めており、妻との絶対的な関係が、世界に普遍していくというモデルを描いていた。そうした思想が妻への手紙から浮かび上がり、満州事変の背景や、当時がどういった時代だったのかが鮮やかに見えてくる。
上記の『北一輝』と共に「再発見 日本の哲学」というシリーズだが、名著揃いであり、改めて注目されるべきシリーズだと思う。
嘉戸一将
1210円605円(税込)
推薦文:北一輝に関する著作は数多くあるが、本書はその中でも突出して、北の思想を的確に捉えている。私が “元祖セカイ系“と呼んでいる北や石原莞爾らは、自分と他者の隔たりがなくなり、宇宙がひとつに融けこんだような世界を理想とする。
北にとっての理想的な国家は天皇と国民が一体となったものであり、そこでは個人は「個であること」を放棄することになる。一見すると、政治改革・政治思想として捉えられがちだが、探求していくと北はナイーブで、個の救済を追い求めていることがわかる。北のそういった側面を鋭く捉えた名著である。
大塚健洋
880円440円(税込)
推薦文:私が研究者になる上で大きな影響を受けた一冊であり、この本がなければ、いまの研究はしていなかったかもしれない。
著者の大塚は、大川周明の立場を「復古革新主義」と位置づける。大川は他の左翼理論家たちとは違って、過去の君民一体社会への回帰によって理想社会が現れると考え、左派でありながら右派であった。そんな大川の思想プロセス、昭和維新の構造を明らかにしている。
私が若い頃には、戦前の思想を研究対象とするのは避けられる空気があったが、この本と出会ったことで導かれるように、日本思想史の分野に足を踏み入れることになった。
鷲田清一
1100円770円(税込)
推薦文:現代を代表する日本の哲学者である鷲田は、早い時期から「弱さ」に注目してきた。いまの私たちは強いリーダー、周囲を牽引していくリーダー論を掲げがちだが、リーダーが弱さを認め、助けてほしいと言えることで、周囲にも関わる余地が生まれる。
私たちはガチガチに鎧を固めて、強く見せようとするけれど、鷲田は周りのポテンシャルを引き出す力である「弱さ」こそがいろんなことを生み出していくと説いている。いまの時代に必要とされているメッセージだと思う。
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※本ページに記載された推薦文は、クーリエ・ジャポン読者のために寄稿いただいたものを転載したものです。
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