11/13(月)に絲山秋子さんの新刊『神と黒蟹県』が配信開始となります!
これを記念して、絲山秋子さんの過去作を特価にて配信。最新作と併せてお楽しみください。
11/13(月)配信開始の新刊はこちら!
※新刊は通常価格です。
神と黒蟹県
絲山秋子
1900円
(税込)
架空の県を舞台にした連作小説集
「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。
つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。
特価対象、絲山秋子さんの作品
イッツ・オンリー・トーク
絲山秋子
460円
→
367円
(税込)
引っ越しの朝、男に振られた。やってきた蒲田の街で名前を呼ばれた。EDの議員、鬱病のヤクザ、痴漢、いとこの居候――遠い点と点が形づくる星座のような関係。ひと夏の出会いと別れを、キング・クリムゾンに乗せて「ムダ話さ」と歌いとばすデビュー作。第96回文學界新人賞受賞作。高崎での乗馬仲間との再会を描く「第七障害」も併録。「やわらかい生活」として、豊川悦司、寺島しのぶで映画化された話題作です。
沖で待つ
絲山秋子
502円
→
401円
(税込)
第134回芥川賞受賞作。
仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そう思っていた同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすため、私は太っちゃんの部屋にしのびこむ。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く芥川賞受賞作。待望の電子化。「勤労感謝の日」「みなみのしまのぶんたろう」併録。
離陸
絲山秋子
968円
→
774円
(税込)
〈生きている者は皆、離陸を待っているのだ〉。静かな祈りで満たされた傑作長編小説。
国交省から矢木沢ダムに出向中の佐藤弘のもとへ、ある夜、見知らぬ黒人が訪れる。
「女優の行方を探してほしい」。
昔の恋人はフランスで、一人息子を残して失踪していた。彼女の足跡を辿る旅は、弘の運命を意外な方向へ導いていく。
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「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。
つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。